TTC 地下鉄路線、完全なネットワークサービスに向けて

トロントの交通

Toronto Transit Commission (TTC)-トロント交通局は以前から携帯電話サービスに必要なインフラを備えていました。
しかし、現在、Toronto Transit Commission (TTC)-トロント交通局は、既存の「3G、4G」のネットワークで、駅のコンコースとプラットフォーム、地下鉄トンネルの約4分の1しかカバーできていない状況です。

そのなか、 驚きのニューズがトロントを駆け巡りました!
Rogers CommunicationsBAI Communications のカナダ事業を買収したという知らせです!

4月10日(月)の夕方、トロントの大手通信会社、そして、トロントの3大電話会社でもある Rogers Communications が、地下鉄網全体に5G接続と携帯電話サービスを導入する計画を発表し、この予想外の動きにトロントでは驚きの声があがっています。

今後、数年以内にトロントの地下鉄路線 Toronto Transit Commission (TTC)-トロント交通局で完全なネットワークサービスを受けられるようになる日が近いということです!
Rogers Communications は、現在の無線ネットワークを引き継ぎ、地下鉄全体に5Gサービスを導入する予定です。


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Rogers Communications: ロジャーズ・コミュニケーションズ社は、主に無線通信、ケーブルテレビ、電話、インターネットの分野で事業を展開するカナダの通信・メディア企業であり、その他にも重要な通信・マスメディア資産を有しています。ロジャースはオンタリオ州トロントに本社を置いています。

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BAI Communications canada: (旧)Broadcast Australia は、オーストラリアの電気通信システム会社です。
その昔、マッコーリー銀行は2002年に National Transmission Agency の買収を完了し、上場している Macquarie Communications Infrastructure Group (MCIG) ファンドの種資産とし、Broadcast Australia としてリブランディングしました。Broadcast Australia を含む MCIG ファンドは2009年にカナダ年金投資委員会に買収されています。
その後、2019年11月、Broadcast Australia は、現在の BAI Communications に社名変更されました。

※トロントの3大電話会社は、Bell CanadaTelusRogers Communications で、トロント市との契約は、ビジネスで3000万ドル以上になります。

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Rogers Communications が BAI Communications を買収

そのなか、Rogers Communications は、4月10日(月)の夕方、2012年から TTC の無線ネットワークの独占的権利を保有していた BAI Communications のカナダ事業を買収することで合意したと発表しました。

Rogers Communications は、この買収により「 Toronto Transit Commission (TTC) -トロント交通局の地下鉄全体に comprehensive and reliable– 包括的で信頼性の高い5Gネットワークを構築するために undertake the investments required– 必要な投資を行うことができるようになる。」と表明しています。

BAI Communications は、公式ホームページ上で下記のように表明しています。

BAI Canada update (April 11, 2023)

BAI は、主に Toronto Transit Commission (TTC)-トロント交通局 の携帯電話ネットワークと Wi-Fi ネットワークからなるカナダ事業を Rogers Communications に売却することに合意しました。
BAI Canada は、Toronto Transit Commission (TTC)-トロント交通局の長年のパートナーとして、トロントの地下鉄に接続性を提供してきました。私たちの目標は当初から、できるだけ多くの乗客にサービスを提供することで、つながっていない人たちをつなげることでした。過去1年間の活発な交渉の結果、Toronto Transit Commission (TTC) -トロント交通局とその利用者にとって最善の結果は、当社の資産を Rogers Communications に売却することであると判断しました。 Rogers Communications は、地下鉄全体を通して5Gネットワークを構築する予定です。
私たちが事業を展開する市場はそれぞれユニークであり、複数当事者による交渉はしばしば複雑です。今回のケースでは、Toronto Transit Commission (TTC)-トロント交通局の地下鉄利用者のために接続性を実現するために、これが最良の結果であると信じています。BAI Communicationsは、世界中の大手通信会社と強力なパートナーシップを築いており、今後もニューヨーク、ロンドン、香港などの主要都市で、未来の相互接続都市のバックボーンとして、最先端のネットワークで交通システムにサービスを提供していきます。

BAI-Canada-Update-2023-4-11

source: Regers to buy Canadian operations of PE-backed BAI Communications


買収後の Rogers Communications、最初のサービス

Rogers Communication は、この BAI Communication Canada 買収の発表の中で、Toronto Transit Commission (TTC)トロント交通局の地下鉄全体に包括的で信頼性の高い5Gネットワークを構築するために、BAI Communication カナダ事業を買収する契約を締結したことを明らかにしています。(BAI Communication カナダ事業は現在、Toronto Transit Commission (TTC)-トロント交通局の無線ネットワークシステムの独占権を10年以上にわたって保有しています。)

また、Toronto Transit Commission (TTC)-トロント交通局 は、拡張計画に役立つ「“finalize the terms of a new contract”- 新しい契約の条件を確定する」ために Rogers Communication と協力していることをTwitterで共有しました。(下記)


「緊急通報 911 」のサービス開始に向けて

地下街での携帯電話サービスを求める声は、刺殺事件、武装強盗事件、暴行事件など、 Toronto Transit Commission (TTC)-トロント交通局を巻き込んだ暴力事件が不穏に増加していることを受けて、上がっています。最近では、16歳の少年 Gabriel Magalhaes さんが地下鉄 Keele station で無抵抗のまま刺され、死亡しています。

Rogers Communications は、5Gサービスの完全な展開には数年かかると予想しています。
しかし、完全な接続に向けた第一歩は、Toronto Transit Commission (TTC)-トロント交通局の利用者が常に接続されていることが重要なだけでなく、安全面を考慮すると、システム全体を通して、地下鉄の駅やトンネルでの「911 service calls– 緊急通報 911」にアクセスできるようにすることが重要であると同時に、まず最初にやるべき事だという表明しています。

Rogers Communication の最高技術・情報責任者である Ron McKenzie は、次のように語っています。
「私たちは、トロント市民にとって安全が最重要課題であることを理解しています。住民や観光客は、Toronto Transit Commission (TTC)-トロント交通局の地下鉄を利用する際、ワイヤレス接続を期待しています。」

現在、Toronto Transit Commission (TTC)-トロント交通局の利用者が「911」に電話できるのは、携帯電話の接続が可能な場所だけなので、駅のプラットフォーム、コンコース、そしてトンネル、外部の携帯電話サービスが存在するエリアでのみ、つまり全体の約25%だけです。
Rogers Communications は、これらのギャップを埋めるために迅速に取り組むことを目標としています。

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いつ、新しい5Gネットワーク構築が完了する?

Rogers Communications の最高技術・情報責任者である Ron McKenzie は、次のように述べています。

「トロント市民や観光客は、Toronto Transit Commission (TTC)-トロント交通局の地下鉄を利用する際に無線接続を期待しています。BAI Communication Canada の買収合意は、カナダ最大の都市の地下鉄システム全体を通して、数百万人の交通利用者に強化された5G無線サービスを提供するために、既存のネットワークを近代化・拡張する重要な第一歩となります。新しい5Gネットワーク構築は、 夜間に限られた時間での工事になる為が、全てが完了までに約2年かかると予想されています。」

「短期的には、Rogers Communications はこの既存のカバーエリアの小さなギャップに対応することができます。そして、次の2年間でToronto Transit Commission (TTC)-トロント交通局75駅と76.9km におけるトロントの地下鉄システムにおける全てのネットワークを拡張し、アップグレードし、Toronto Transit Commission (TTC)-トロント交通局を利用する乗客にモバイル音声とデータサービス、そして「911 service calls– 緊急通報 911」をシームレス()なサービスとして提供します。」

「このネットワークサービスの構築が完了すれば、すべての地下鉄利用者は、携帯電話キャリアに関係なく、地下鉄システム全体で「911 service calls– 緊急通報 911」を呼び出すことができるようになります。」

「携帯電話のインフラが整っているのであれば、なぜ2年も待たされるのか?
それは、何年も前からある現在のインフラが、少し長い間使われずに放置されており、現在の5G規格以下の3Gと4Gネットワークにしか対応できないことが判明したからです。 」

※seamless: シームレスとは、ユーザーが複数のサービスを違和感なく統合して利用できること。 例えば無線 LAN での通信の際に、通信を場所に応じて自動的に切り替えることができれば場所や使用しているモノに限らず、シームレスな通信が可能です。 シームレスなサービスは、多数のサービスや機能などを最小限の手間で活用できるようになります。

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Toronto Canada – 30 March 2019 : TTC subway platform And its passengers waiting for the train

Rogers Communications の動きに対する評価

トロント副市長の Jennifer McKelvie は、今回の発表を正しい方向への重要な一歩と評価しています。
(実は、通信事業者に携帯電話サービスの提供を強制するための市役所での働きかけが2週間ほど前に可決されていました。)

BAI Communication Canada の買収合意は、カナダ最大の都市の地下鉄システム全体を通じて、数百万人の交通利用者に強化された5G無線サービスを提供するために、既存ネットワークを近代化・拡張する重要な第一歩となります。」


TTC での携帯電話の通信サービスは
Rogers Communications に限定されるのか?

2023年4月10日(月)、トロントの通信大手 Rogers CommunicationsBAI Communications Canada の買収を発表し、それに伴い Rogers Communications Toronto Transit Commission (TTC)-トロント交通局の地下鉄網での無線サービスに関する独占権を持つことになったことは、はじめにご紹介しましたが、このことに対して、トロントで生活する誰もが満足しているわけではなありません。

Rogers CommunicationsToronto Transit Commission (TTC)-トロント交通局の地下鉄で携帯電話のネットワークサービスを提供する権利を獲得したことで、別のプロバイダーを利用している人たちから懸念の声が上がっています。
他の通信事業者が地下鉄の乗客にサービスを提供することを制限する権利を Rogers Communications に与えるものであると思われているからです。

ちなみに現在、携帯キャリア「Freedom」の顧客はこのサービスを利用できています。
FreedomBAI Communications Canada との契約は継続されているため、Freedom の顧客は現在も変わらずアクセスができます。


トロント市長選挙の立候補議員、一般市民の声

この Rogers CommunicationsToronto Transit Commission (TTC)-トロント交通局の地下鉄網での無線サービスに関する独占権を獲得した契約は、他の携帯電話サービスプロバイダーに依存している顧客にとってどのような意味を持つのでしょうか?

その後、Rogers Communications 側は、「我々は、他のプロバイダーと参加するための議論を開始することを計画している 」と述べていまが。。。。

今年2023年6月のトロント市長選挙に出馬する有力候補者は、この契約が他の携帯電話サービスプロバイダーに依存している顧客にとって何を意味するか、この懸念について下記の通り表明しています。

Norm Di Pasquale 氏

当初、Rogers CommunicationsBell CanadaTelus を含む他の大手通信事業者の参加を認め、地下鉄の携帯電話サービスを顧客に提供するかどうかは不明で、すでに M-word()を使うコメントが出ている。

※英語の罵倒表現。婉曲的に下品な言葉やタブーとされる motherfucker という言葉。

Brad Bradford 議員

今年6月のトロント市長選挙に立候補しているブラッド・ブラッドフォード議員は、当初の Toronto Transit Commission (TTC)-トロント交通局の無線ネットワーク契約を「a bad deal for Toronto,– トロントにとって悪い契約」と呼び、市長に当選した場合は「Toronto Transit Commission (TTC)-トロント交通局に責任を持たせ、すべてのトロント市民がサービスを受けられるようにする。」と公約しています。

Ana Bailão 氏

トロント前市議会議員でトロント現市長候補の Ana Bailão 氏も火曜日の朝、同様の声明を発表し、この契約は良い第一歩だとしながらも、携帯電話ユーザーはサービスプロバイダーに関係なく、誰もが地下鉄への接続を利用する権利があると強調しました。

一般市民

Rogers Communications はすでにこの衝撃的な発表の報いを受けていると思われ、他のプロバイダーの顧客からも、地下鉄の通勤時間帯に電話が使えるなら乗り換えたいとの声が上がっています。


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