新型コロナウイルス感染症(COVID-19)入院患者の80％以上がビタミンD欠乏症！？

source: Citynews.ca

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)入院患者の80％以上がビタミンD欠乏症！？

最新の研究によると、スペインの病院で新型コロナウイルス(COVID-19)感染者の80%以上がビタミンD欠乏症だったという結果が分かりました。しかし、この結果から、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)入院患者の80％以上がビタミンD欠乏症だと言えるのでしょうか？
この研究について、この研究の共同執筆者で、スペインの University of Cantabria- カンタブリア大学の神経生理学の准教授でもある Dr. Jose Hernandez- ホセ・ヘルナンデス博士の声明をご紹介します。

ビタミンDが新型コロナウイルス(COVID-19)感染者の治療や予防に効果があるかどうか

新型コロナウイルス感染症の入院患者と非感染者のビタミンD値の比較

スペインの Santander- サンタンデールにある、University Hospital Marques de Valdecilla- バルデシラ大学病院の研究者たちは、新型コロナウイルス感染症治療の為に入院した 216人の患者のビタミンD値を 3月10日から3月31日まで調べ研究しました。この研究では、216人の入院患者のビタミンD値を、同じ地理的地域の人口ベースのコホートから、同年代と性別の197人の対照群のビタミンD値と比較しました。入院患者216人のうち、ビタミンDの経口サプリメントを 3ヵ月以上服用していた19人が、別のグループとして分析されました。

※コホート：共通した因子を持ち、観察対象となる集団のこと。
※コホート研究：分析疫学における手法の1つであり、特定の要因に曝露した集団と曝露していない集団を一定期間追跡し、研究対象となる疾病の発生率を比較することで、要因と疾病発生の関連を調べる観察的研究。

比較結果

研究者たちは、ビタミンDの経口サプリメントを飲んでいない入院中の新型コロナウイルス(COVID-19)感染症患者の82％がビタミンD欠乏症で、対照群の47％が同じ欠乏症であることを発見しました。この研究ではまた、男性のビタミンD値は女性に比べて「特に低い」ことも指摘しています。

この研究の共同執筆者で、スペインの University of Cantabria- カンタブリア大学の神経生理学の准教授でもある Dr. Jose Hernandez- ホセ・ヘルナンデス博士は、新型コロナウイルス(COVID-19)感染症患者の男性が女性よりビタミンD値が低い理由には、ライフスタイルや食習慣、さまざまな疾患などがあると述べました。

ビタミンDの研究

この研究論文の執筆者たちは、ビタミンDが新型コロナウイルス(COVID-19)感染症に関与していることを示唆するエビデンスがある為、特にビタミンDの研究に興味を持っていました。
ビタミンDは腎臓で作られるホルモンで、血中カルシウム濃度を調節し、免疫系の働きに影響を与えます。
ビタミンD欠乏症は心臓病、糖尿病、がん、多発性硬化症などの健康問題とも関連しています。

研究によると、ビタミンDの低レベルと、インフルエンザ、HIV、C型肝炎ウイルスなどの感染症との疫学的関連についても、「説得力のあるエビデンス」があります。

Dr. Jose Hernandez- ホセ・ヘルナンデス博士は、「ビタミンDの免疫系への有益な影響を裏付ける文献には、特にウイルス感染を含む感染症からの保護に関して、数多くのエビデンスが有ります」と、述べています。

ビタミンD欠乏症と新型コロナウイルス(COVID-19)感染の重症度との関連性

研究者たちは入院中の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者のビタミンD欠乏の有病率が対照群に比べて高いことを報告しましたが、研究では、ICU入院、人工呼吸器、さらには死亡のような病気の重症度と、ビタミンD値との関連性は見当たりませんでした。

そして、ビタミンD欠乏症と新型コロナウイルス(COVID-19)の重症度との関連性は確立されていませんでしたが、入院前に経口サプリメントを服用していた入院患者のグループは、入院前にサプリメントを服用していなかったグループよりも、わずかに好ましい結果になっていました。
(ferritin- フェリチン値の低下、immunosuppressive drug tocilizumab- 免疫抑制薬トシリズマブの必要性の低下、ICUの低さを含みます。)

その研究によると、ビタミンD欠乏症の患者は、ferritin- フェリチンや D-dimer- Dダイマーのような炎症性マーカーの血清レベルも上昇していました。

サイトカイン・ストーム：新型コロナウイス(COVID-19)感染症の重篤状態

Dr. Jose Hernandez- ホセ・ヘルナンデス博士は、下記の様に言及しています。

「新型コロナウイス(COVID-19)感染症の最も重症な状態は、高炎症状態、いわゆる “Cytokine storm- サイトカイン・ストーム”いわゆる”免疫の暴走”で、症状の発症から1週間で起こり、急性呼吸困難症候群やその他の臓器合併症によって死亡率が上昇することです。そして、血清ビタミンD値が低い新型コロナウイルス(COVID-19)感染症患者は、高炎症反応の指標である、血清フェリチン値とDダイマー値を上昇させていた事が分かりました。」

（つまり、低レベルのビタミンDと、新型コロナウイルス(COVID-19)感染症の重症度(死亡を含む)との関係を確立していないことに加え、研究論文の執筆者は、ビタミンD欠乏症がこの病気にかかる危険因子である事を示していない事を認めました。）

「私たちは、ビタミンDがSARS-COV-2感染を予防できるか、重症度を下げる事ができるかを判断する為に、大規模かつ正確に計画された研究結果を待たなければなりません。」

「ビタミンD治療の安全性と低コストを考慮すると、高齢者や合併症の患者など、ビタミンD欠乏症の危険性が最も高く、同時に、新型コロナウイルス(COVID-19)感染症によって深刻な結果が出る危険性が最も高い人々を治療するのが妥当だと考えます。」

この研究は、2020年10月27日(火)、内分泌学会の「Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism- 臨床内分泌代謝ジャーナル」に発表されました。
→ Vitamin D Status in Hospitalized Patients With SARS-CoV-2 Infection

参考動画：ビタミンDがCOVID-19の治療に役立つかどうか研究は続く

いくつかの臨床試験では、ビタミンDが新型コロナウイルス(COVID-19)感染症の治療や予防に効果があるかどうかを判断しようとしています。一方、スペインの病院では、多くの患者がビタミンD欠乏症にかかっていることが、最近の研究で明らかになりました。

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