トロントのダウンタウン中心部にあるTTC路面電車が、夏の直前から約20ヶ月間運休する可能性が出てきました。
5月上旬には、Queen St. にある501番線のTTC路面電車に乗ろうとする通勤・通学客は、TTC路面電車の代わりにシャトルバスに並ばなければならないでしょう。
来週の TTC(Toronto Transit Commission) の理事会で発表予定の報告書の中で、TTCは次のように述べています。
“現在、TTC、Metrolinx、トロント市、様々な事業主は、 可能な限り迅速に、事業主が抱える競合問題や移転問題を全て解決を目指し非常に緊密に協力しています。また、Metrolinx は、路面電車の迂回工事の完了が遅れる可能性があり、2023年5月初旬から約20ヶ月間のシャトルバスサービスが開始予定だと確認しています。”
“Metrolinxは、路面電車の迂回工事を完了するための潜在的な遅延により、2023年5月初旬から約20ヶ月間のシャトルバスサービスが開始予定だと確認しています。”
source: Transit Network Expansion Update – Board Report February 2023
TTC/Toronto Transit Commision:
オンタリオ州のトロント市を管理する地方政府が運営する交通局。→ https://www.ttc.ca/
Metrolinx:
オンタリオ州政府の政府機関で、オンタリオ州の Golden Horseshoe region– ゴールデンホースシュー地域の大部分を占める Greater Toronto(※)- グレーター・トロント及び Hamilton Area(※)- ハミルトン地域(GTHA※)の道路および公共交通を管理、統合しています。
→ https://www.metrolinx.com/en
※トロント市を構成する6地区に関してのご紹介→トロント市内地区・ GTA・CMA・GGH・GTH
「Queen Street- クイーン通りの一角」が閉鎖
トロントの Queen Street- クイーン通りの一角は、 Line 1(1号線)に接続する Yonge street-ヤング通りと Queen street- クイーン通りに位置する新しい地下鉄の停留所建設の為、約5年間閉鎖される見通しです。
シャトルバスを使わずに路面電車を迂回させる為、Adelaide Street– アデレード通りや近くの脇道沿いに「TTCの新路線 Ontario Line- オンタリオ線」が敷設されます。
TTCのバス路線と地下鉄路線で待ち時間が長くなる!
Toronto Transit Commission-トロント交通局は、需要に見合ったサービスを提供する計画の一環として、来月3月、約40路線の TTC バス路線の運行スケジュールを調整する予定です。
37路線の日中路線と2つの夜間路線で運行時間が調整され、影響を受けた路線のうち11路線で顧客の待ち時間が長くなることが指摘されています。
その他の24路線では、一部の時間帯で待ち時間が短くなり、他の時間帯で待ち時間が長くなります。
今回のダイヤ改正で、4分以上の待ち時間が発生する路線は以下の通りです。
TTC バス路線に加え、TTC の地下鉄 2 路線でも待ち時間が長くなります。
2 号線/ Bloor-Danforth は、月曜日から金曜日の朝のラッシュ時に待ち時間が改善されますが、それ 以外の時間帯は、同じかそれ以上の待ち時間が発生する予定です。
4号線/ Sheppard については、全日程で待ち時間が変更されないか、または長くなることが提案されています。
この提言と影響を受ける路線は、TTC 理事会で発表される報告書に記載されています。トロント市議会で承認されたTTC の24億ドルの運営予算では、年末までに利用者数が COVID 導入前の75%まで増加すると予測されています。
TTC は、この変更が利用者に与える影響を年間を通じて監視・評価し、“需要がこれらの路線のキャパシティを超え始めたら” 必要な調整を行うとしています。この計画により、2023年にはTTCの運営コストが5,000万ドル削減される見込みです。
「TTCの新路線 Ontario Line- オンタリオ線」の建設工事
「TTCの新路線 Ontario Line- オンタリオ線」の建設工事の為、約5年もの間、「Queen Street- クイーン通りの一角」が閉鎖されることになった、その発表当時(2022年8月)の内容をご紹介いたします。
※2022年 8月6日当時の資料から
今月(2022年 8月)、Ontario Line– オンタリオ線の着工に向け、トロント・ダウンタウンの主要幹線道路で数カ月に及ぶ道路リニューアル・プロジェクトが始動する予定です。
新しい地下鉄の工事は2023年に開始される予定で、Eaton Centre- イートン・センター近くの Queen Street- クイーン・ストリートを長期的に閉鎖する必要があるとのことです。
そのため、路面電車は少なくとも5年間は Richmond street- リッチモンド通りと Adelaide street- アデレード通り沿いの York street-ヨーク通りと Church street- チャーチ通りの間で迂回する必要があります。
その迂回については、今月から、トロント市は Charlotte street– シャーロット通りと York street– ヨーク通りの間の Adelaide street– アデレード通りに路面電車の線路を再導入する作業を始めるので可能になります。
そして、この迂回は、15.6キロメートルのオンタリオ線の工事の一環として、トロント・ダウンタウンの住民に混乱をもたらす可能性のある一連の工事において、実質的な第一弾と言えます。
そして同時に、トロント市は York street– ヨーク通りと Victoria street– ビクトリア通りの間の Adelaide street– アデレート通りに沿ってある築100年の老朽化した水道管も交換する予定です。
また、Adelaide street– アデレート通りの自転車専用道路は、Bathurst street– バサースト通りと Parliament street– パーラメント通りの間で、通りの南側から北側に移動される予定です。このエリアでの自転車と商用車がスペースを共用する必要性を減らす為に、このような措置がとられます。
工事は4〜5ヶ月間行われ、12月に完了する予定です。(※2022年12月完了予定でした。)
工事が始まると、作業区域内の Adelaide Street– アデレート通りの走行車線は東行き共有車線1本になります。作業区域を通過する自転車に乗る人は、その区域で車両と合流するか、下車して歩く必要があります。
トロント市によると、プロジェクトを円滑に進める為、作業は週7日24時間行われる予定です。
最も騒音が激しいコンクリートの破壊作業は、午前7時から午後11時の間に行われ、各工事の最初の数日間続くと予想です。
TTCの新路線
Ontario Line- オンタリオ線 -建設工事の予算-
トロント市の報告書では、この工事が2022年後半に「Substantially completed– 実質的に完了」したと記していますが、TTCは市や Ontario Line- オンタリオ線を運営することになった州機関 Metrolinx と「Refining the detailed design of the infrastructure– インフラの詳細設計を改良中」であることも付け加えています。
残りの区間の工事は昨年開始される予定でしたが、ある問題が確認され、「以前の予想を上回り、迂回用の路面電車の軌道の建設開始が遅れている」そうです。
「TTCは現在も Metrolinx と市と密接に協力し、シャトルバスサービスの期間を短縮するために Adelaide street– アデレード通りの土木工事と路面電車軌道工事の建設スケジュールを最適化するオプションを模索しています 」と報告書に記載があります。
Ontario Line– オンタリオ線は、Doug Ford– ダグ・フォード政権による Greater Toronto– グレーター・トロントおよび Hamilton Area– ハミルトン地域の交通拡張計画の大きな部分を占めています。すべての費用はオンタリオ州によって負担され、1キロメートルあたり10億ドル以上と予想されており、これは当初の見積もりのほぼ2倍です!
→「TTCの新路線 Ontario Line- オンタリオ選の建設費が2倍に!!」(同ページ下部)
Documents from Infrastructure Ontario の文書によると、総額150億ドルの2つの契約がすでに結ばれています。
15駅、15.6kmの延長は、Exhibition Place– エキシビション・プレイスから Queen Street- クイーン・ストリート沿いにトロント・ダウンタウン中心部を通り、Ontario Science Centre– オンタリオ科学センターまで北上する予定で、2031年までに完成する予定です。
Eglinton Crosstown LRT では、交通量の多い道路沿いで大規模な工事が行われ、予想以上に時間がかかった為、この工事の影響を受けることになる企業は、透明性と説明責任を求めています。(下記動画)
Toronto businesses ask for accountability from Metrolinx on Ontario Line subway(動画)
TTCの新路線
Ontario Line- オンタリオ線の建設費が約2倍に!!
Ontario Line– オンタリオ線の建設費用は当初の見積もりからほぼ倍増し、最終的には1kmあたり10億ドル以上となる可能性があります。
Doug Ford– ダグ・フォード政権が2019年に15.6kmの Relief Line(※)- リリーフラインの計画を初めて発表した際、費用は109億ドルとし、2027年までに完成させるとしていました。
※Relief Line:(旧ダウンタウン・リリーフ・ライン、DRL)は、トロント地下鉄の高速輸送線計画で、Line-1(1号線)の Yonge – Bloor– ヤング-ブロア駅の容量緩和と市東端の地下鉄サービス範囲の拡大を意図したもの。
しかし、2022年11月、Infrastructure Ontario– インフラストラクチャー・オンタリオが公開した新しい資料によると、このプロジェクトにはすでに総額150億ドルの2つの契約が結ばれており、現在は2031年に完成する見込みとなっています。また、同線の北側部分を建設する別の2件の契約についても Request for Proposals (RFPs)– 提案依頼書が発行されています。
Infrastructure Ontario は以前、これらの契約が成立すれば、それぞれ10〜20億ドルずつ総費用が増加することを示唆していました。
その結果、総工費は190億ドルにも上る可能性があるのです。
NDP の Infrastructure Critic– インフラ批評家である Jennifer French– ジェニファー・フレンチ氏は、「これはかなりの衝撃であり、人々にとって衝撃であるべきです。インフレを考慮することは現実的な話だと思いますが、それを全面的に非難することは、誰も納得しないでしょう。」言っています。
Ontario Line– オンタリオ線のコストを押し上げる最大の要因のひとつは、今後30年間の運行・保守を行う企業コンソーシアム(※)との契約です。
※コンソーシアム:複数の企業が「共同企業体」を組成して、一つのサービスを共同で行う取引の事。
Metrolinx は以前、この契約の金額を20億ドル以上と見積もっていましたが、2022年11月17日に正式に発表されたときには、その金額は90億ドルにまで跳ね上がっていました。(source: formally announced on Nov. 17)
もう一つの契約は、Exhibition Place– エキシビション・プレイスから Don River– ドン川の西側までの南側部分の建設で、当初は40億ドルとされてましたが、2022年11月初めに発表された時には60億ドルになっていました。(source: came in at $6 billion when it was announced)
Ministry of Transportation– 運輸省の広報担当者は、「世界中の建設プロジェクトは、インフレコストの上昇とサプライチェーンの不足という経済的な課題に直面しています 。この現象はオンタリオ線に限ったことではない 」と述べています。しかし、「同時にフォード政権は納税者にもっと詳細な説明をする義務がある」と語りました。
また、Ministry of Transportation– 運輸省の広報担当者は Infrastructure Ontario が発表した最新の資料では、最終的なプロジェクト契約の締結予定日が2年遅れて2026年になっていることにも懸念を示しています。
現時点では、このことが地下鉄15駅の建設スケジュールにどのような影響を及ぼすかは不明です。
運輸省に完成時期がさらに遅れるかどうかの回答は得られていません。
TTC新路線
Ontario Line- オンタリオ線は「フォード政権の目玉」の一部?!
Doug Ford– ダグ・フォード政権は、2019年に発表した285億ドルの Greater Toronto– グレーター・トロントと Hamilton Area– ハミルトン地域の交通拡張計画の目玉としてオンタリオ線を選び、トロント市が進めていた別の救済地下鉄路線計画に事実上取って代わりました。
トロント市を構成する6地区に関してのご紹介→トロント市内地区・ GTA・CMA・GGH・GTHA
Ministry of Transportation– 運輸省の Dakota Brasier– ダコタ・ブラジエ報道官は声明の中で次のように述べています。
「このプロジェクトが完成すれば、”毎日約40万人の乗客が訪れ、既存の地下鉄路線の混雑を緩和し、トロントまで45分の乗り換え通勤圏内に5万7000の雇用をもたらします。また、”100億ドル以上の経済効果を生むでしょう。」
しかし、その言葉があったにもかかわらず、価格の高騰している為、トロント市民の懸念の声が上がっています。
トロントの地下鉄建設計画では、以前は Pape Station– パプ駅を終点とする8駅分の小規模な地下鉄が計画されていました。2019年に Ontario Line– オンタリオ線の建設が発表されたとき、その路線では計画作業が順調に進んでいました。
Ontario Liberal Party– オンタリオ州自由党の Infrastructure Critic– インフラ批評家の Stephanie Bowman– ステファニー・ボウマン氏は、次のように声明で述べています。
「オンタリオ州は公共交通機関への投資を必要としていますが、これらのプロジェクトについて政府からの透明性と責任ある監督も必要です。保守党は白状し、政府の特徴的な交通プロジェクトが予算を大幅に超過し、当初の完成時期を大幅に過ぎている理由をオンタリアンに伝えなければなりません。」
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