血液型O型の人は、新型コロナウイルス（COVID-19）感染や重症化のリスクが低い⁈

10月14日(水)に発表された、カナダとデンマークの両者の研究によると、

• 血液型O型の人は新型コロナウイルス（COVID-19）の影響を受けにくく、重症化する可能性が低いかもしれない。
• 血液型が感染症への感受性と重症化の可能性に役割を果たしている可能性が有る。

上記の関連性の理由は現時点では明らかではなく、患者にとってどのような意味合いがあるのか、もし有るとすれば、更なる研究が必要であると専門家は言っています。

♦臨床結果を重ねる研究

カナダの研究：
カナダの研究者が新型コロナウイルス感染症（COVID-19）で重症患者95人のうち、血液型A型またはAB型の患者の割合が84％と高く、血液型OまたはB型の患者の61％と比較して機械的人工呼吸が必要であることを明らかにしました。

カナダの研究では、血液型AまたはAB型の患者は集中治療室での滞在期間が長く、中央値は13.5日で、血液型OまたはB型の患者と比較して、中央値は9日であった事が分りました。

デンマークの研究：
デンマークの研究では、新型コロナウイルス感染症（COVID-19）の検査を受けた473,654人のうち、血液型がO型の患者は38.4％しか陽性ではなかったが、検査を受けなかった220万人のうち、血液型がO型の人が占める割合は、41.7％である事が分かりました。

♦カナダとデンマークの研究

＜カナダの研究者 – Dr. Mypinder Sekhon＞
バンクーバー総合病院の集中治療医/ブリティッシュコロンビア大学のクリティカルケア医学部医学科の臨床助教授

カナダの研究者 – Mypinder Sekhon は、次のように述べています。

• 臨床医として、患者を見て層別化する際には、血液型O型は新型コロナウイルス感染症（COVID-19）の感染や重症化のリスクが低い可能性が有るという様な事は頭の中に有ります。しかし、決定的な指標に関して、我々は同じことを示す多くの管轄区域での繰り返しの調査結果が必要です。
• 「血液型O型に人は、新型コロナウイルス感染症（COVID-19）に感染や重症化するリスクが低い可能性が有る」ことは「年齢や合併症などの重症度の危険因子」に取って代わるとは思いません。
• 新型コロナウイルス感染症（COVID-19）の重症度の主な原因となっている一つに「血液中の凝固」が有りますが、血液型O型の人は、その「血液中の凝固因子」が少ないため、血液中の凝固障害を起こしにくいと説明できます。
• 他の可能性のある説明としては、血液型抗原とそれが感染症と戦う抗体の生産にどのように影響を与えるかが挙げられます。あるいは、血液型に関連する遺伝子や免疫系の受容体への影響と関連している可能性も有ります。これは、繰り返し行われている興味深い科学的観察であり、更なるメカニズム論的研究が必要とされています。

＜デンマークの研究者 – Dr. Torben Barington＞
デンマーク論文の主任執筆者/オーデンセ大学病院と南デンマーク大学の臨床教授

下記は、米国における血液型の平均的な分布です。
この分布は、特定の民族グループによって異なる場合があります。

O Rh-positive – 38 ％
O Rh-negative – 7 ％ 
A Rh-positive – 34 ％ 
A Rh-negative – 6 ％ 
B Rh-positive – 9 ％
B Rh-negative – 2 ％ 
AB Rh-positive – 3 ％ 
AB Rh-negative – 1 ％

• すべての人間は4つの血液型A、B、AB、O型のいずれかに分類されます。輸血をしなければならない場合を除いて、ほとんどの人の日常生活にはほとんど違いは有りません。また、血液型と新型コロナウイルス（COVID-19）との関連性を過度に心配するべきではありません。
• 現時点では、この結果がO群のある種の保護なのか、他の血液群のある種の脆弱性なのかはわかっていません。これは科学的な関心を集めていると思うので、メカニズムがわかれば、おそらく治療に関して何らかの方法で積極的に使用することができるでしょう。

※両方の研究は、「The journal Blood Advances」に掲載されました。

※デンマークの研究では、2月27日から7月30日までの間に検査を受けたデンマーク人のデータを分析し、検査を受けていない人のデータと血液型の分布を比較した結果、血液型は新型コロナウイルス感染症（COVID-19）による入院や死亡の危険因子ではないことが判明しています。

※現時点では、いくつか説が有りますが、研究者たちは、異なる血液型と新型コロナウイルス感染症（COVID-19）との間の関係性を説明できるメカニズムはまだ分かっていません。

今後の重要な研究課題

♦The New England Journal of Medicine 6月号で発表の研究結果

6月に The New England Journal of Medicine 誌に発表された別の研究では、次のように述べています。
「一部の新型コロナウイルス感染症（COVID-19）の患者や健康な人々の遺伝子データによると、A型血液の方が感染する危険性が高く、O型血液の方が感染する危険性が低いことが示されています。」

♦血液型と様々な感染症への感受性について

＜Dr. Amesh Adalja：ジョンズ・ホプキンス大学保健安全保障センター(ボルチモア)の上級研究者＞

カナダとデンマークのどちらの研究にも関与していない Dr. Amesh Adalja は次のように述べています。

• このカナダとデンマーク、2つの新しい研究の結果は、血液型が人の新型コロナウイルス感染症（COVID-19）にかかりやすく、重症の新型コロナウイルス感染症（COVID-19）を発症する可能性において、より説得力な証拠となるかもしれない。
• The New England Journal of Medicine 6月号」で発表された研究と、「The journal Blood Advances」に発表されたカナダとデンマークの2つの新しい研究と合わせると、まだまだ鉄則と言うにはまだ及びませんが、明らかに示唆されており、これと矛盾するものは見られませんでした。傾向として、同じパターンが出現しているO型の血液型が目立っています。
• 血液型と様々な感染症への感受性(感染のしやすい事)は、以前にも医学文献で研究されています。例えば、血液型O型の人はノロウイルス感染症にかかりやすいようだという研究です。
• 新型コロナウイルス感染症（COVID-19）の原因となる新しいコロナウイルスについて、我々は、メカニズムを解明し、これがどのように発生しているかを確実に言うことができるように分子レベルで理解する必要があります – これは本当にO型の血液型であり、何かの種類のO型の血液型に追従するものでは有りません。現在、この仮説を裏付ける証拠が蓄積されてきている様に思います。

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